不妊治療

2020年12月20日

生理痛になぜ鍼灸が効くのか

  こんにちは!もりた鍼灸院の河野です。 生理痛を主訴にご来院いただく患者様は少ないですが、 不妊治療中の患者様が二次的に生理痛が改善することが少なくありません。   ほとんどの方は痛み止めを服用して対処していると思いますが、 根本治療としての生理痛に対する鍼(はり)の効果について 書いていこうと思います。   (子宮内膜症などの器質的疾患が原因の生理痛については ここでは省略します。)       ○生理痛の原因とは 生理痛が重い女性は、 生理中の子宮内膜から分泌される プロスタグランジン(PG)が多いことが報告されており、   多量に分泌されたPGが 子宮の筋肉や血管を収縮させ、 子宮が虚血状態になると交感神経の興奮が起こり、 下腹部痛や腰の痛みが生じると推測されています。   また、PGが血管に入ると 頭痛などの全身症状を引き起こします。   元々、生理中は体温が低く、 骨盤内の血液循環が悪い状態です。   さらに、冷えや精神的ストレス、 肉体的ストレス(長時間座りっぱなしのデスクワークなど)、 生活習慣の乱れや睡眠不足は交感神経緊張状態となり、 生理痛を悪化させる要因となります。     つまり、生理中は交感神経が緊張した状態となり、 血液循環も悪いため、痛み物質が滞ってしまい、 強い痛みを引き起こすと考えられています。     その他原因として、 子宮の入り口である子宮頸管が狭い方や 骨盤が後屈している方は、 経血がスムーズに流れず、うっ血を起こしやすく 生理痛が重い場合もあります。 このような生理痛は出産により改善することがあります。           ○自律神経を整えると生理痛は緩和される 生理痛は日頃からケアをすることで緩和が可能です。  …

2020年12月02日

薄い子宮内膜をふかふかにする方法

  こんにちは!もりた鍼灸院の河野です。   子宮内膜の厚さは着床〜妊娠成立において 重要な因子であることはご存知のことと思います。 不妊治療のどのステップにおいても悩んでいる方は多く、 当院にも子宮内膜肥厚効果を期待して ご来院される方は非常に多いです。 今日は子宮内膜が薄い原因から 鍼(はり)の有効性について書いていこうと思います。       ○ホルモン量を増やしても厚くならない子宮内膜 卵胞の発育に伴い分泌される エストロゲンの作用により 受精卵のためのベットが作られ、 排卵後の卵胞が変化した黄体から分泌される プロゲステロンの作用により ベットに敷くふかふかの布団が作られ、 子宮内膜が育っていきます。   ホルモンを増やせば子宮内膜も育つのでは? と思う方もいらっしゃるかと思います。   ただ、体外受精において、 過排卵刺激でエストロゲン量を増やしても 子宮内膜の厚さが変わらないこともあり、 適当量のエストロゲンと血流が保たれていれば 子宮内膜の発育は正常に進むと考えられています。             ○子宮内膜が薄い原因とは 着床時の至適な内膜厚は クリニックによって基準値は様々ですが、 一般に、8.2〜10mmと言われています。   8mm以上と比べて、 8mm未満では明らかに 妊娠率が低いという報告もあり、 不妊原因が内膜厚ならば、 原因を取り除けたらベストですよね。   子宮内膜が薄い原因が明らかなものは、 ・クロミッドの副作用によるもの ・流産後掻爬術後など機械的なダメージによるもの があります。   逆に、原因不明とされるものについては、 〝血流不全”が関係していると考えられています。  …

2020年10月22日

体外受精 胚移植後の過ごし方

  体外受精での移植時期に来院される患者さんに 良く聞かれる質問があります。 「移植後、気をつけたほうがいいことはありますか?」 今日はこの質問に私がいつも答えている内容を 書いてみたいと思います。     ○激しい運動はしない 激しい運動が 実際どこまで着床に影響するのかは 誰にもわかりません。 ですが、ほとんどのクリニックで 激しい運動は控えるように指示されていますし、 念のため控えられるのが良いかと思います。     ○ラジオ体操をする 激しい運動は 身体に良くないとされる 活性酸素を作る原因になるため おすすめしませんが、 ラジオ体操程度の運動はむしろした方がいいと 個人的には思っています。   適度な血液循環の確保は 着床を促す一つの要因であると考えられています。 ラジオ体操は全身の循環を良くする運動として 不妊治療中の患者様には必ずおすすめしています。   ⭐︎あくまで個人的な意見であり、 移植後、絶対安静とするクリニックもありますので、 ご自身が通われているクリニックの指示に従ってくださいね。     〇お腹、お尻、足を冷やさない たびたびブログにも書いていますが、 冷えは血液の流れを悪くする一つの要因です。 お腹はもちろん、 腰・お尻周りや足首周りも冷やさないことは 大切です。   もしもカイロを貼る場合は、 同じ場所を汗をかくまで温めないように こまめに貼り替えることをお勧めしています。 これは、交感神経優位の状態が続くと 血管は収縮してしまい、 逆に血流が悪くなってしまうからです。     ○まとめ 移植後の鍼灸が着床を促す理由は 主に“血流”と考えられています。 体を冷やさない、適度な運動をする というのも血流を維持するために行うものです。…

2020年10月07日

流産後のお休み周期中の過ごし方

      流産は本当に、 私には察するに余りあるほど お辛い経験です。 当院にも、 過去に流産の経験がある方は たくさんいらっしゃいますし、 当院通院中に妊娠されても、 その後流産という結果になってしまう方が 少なからずいらっしゃることも 正直なところです。       経験された方の中には 主治医の先生からも説明があったと思いますが、 初期の流産では特に、 多くの原因は染色体異常によるものです。       これについては 精子と卵子が出会って 受精卵となった時点で 決まっていた運命だと考えられ、 誰にでも起こりえることです。       妊娠中の過ごし方に流産の原因を見出し、 ご自身を責める方がいらっしゃいますが、 染色体異常だった場合は どんな過ごし方をしていたとしても 起こってしまうものです。       ですが、 染色体異常以外でも 流産のリスクが高まる要因がいくつか わかっています。       ・血流の悪さ、血液のかたまりやすさ ・内分泌系 ・子宮形態異常 ・夫婦染色体異常 などですね。       そしてこれらについては、…

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2020年08月06日

クロミッドやセロフェンの作用について

    クロミッドやセロフェンは、 不妊治療において 最も用いられることの多い 排卵誘発剤のひとつです。       本来はなかなか自力で排卵することが難しい、 排卵障害がある方に用いられるお薬です。       セキソビットなどの内服薬に比べて、 排卵させる力が強いので第一選択薬として よく使用されています。       脳下垂体からの FSH(卵胞刺激ホルモン)分泌を 促進させるお薬のため、 排卵障害をお持ちの方が スムーズに排卵できるようになるところも 過去の患者様を通して私自身 目の当たりにしてきました。       ただし、クロミッドやセロフェンは その抗エストロゲン作用が弊害となり、 継続的な服用で 頸管粘液が減少したり、 子宮内膜が薄くなるという欠点があります。       特にタイミング法でこの薬を使って 妊娠にチャレンジしている場合は注意が必要です。 排卵を促すことができても、 精子が子宮頸管を通過しにくくなってしまっては 本末転倒だからです。       その為、 精子が自力で頸管を泳がなくても子宮に入れる 人工授精と相性が良いと言われています。 子宮内膜が薄いと判断された場合は 別の排卵誘発剤が選択されます。       また、クロミッドやセロフェンは、…